【獣医が解説】猫が夜低い声で「アオーン」と鳴くときの気持ちとは?なぜウロウロするのか?

猫が「アオーン」と鳴く理由 Q&A
猫村
こんにちは。獣医師の猫村(@chata_nekomura)です。

「アオーン」

「オアー」

猫が夜な夜なグルグルとした感じの低い、しかもけっこうな大きさの鳴き声を発しながらウロウロした後、ダッと走り回って驚いたこと、飼い主ならきっとありますよね。

この時のあなたの頭の中は、

  • え、何?何が始まったの?
  • 何かのストレス?
  • 昼間寝すぎて寝れないの?
  • もしや見えない何かと戦ってる?
  • うーん寝れない
  • ご近所迷惑では?
  • やめてやめてー。コレってどうにかできないの?
  • (以上がほぼ毎晩続く)

といろんな思いがぐるぐると巡ったかと思いますが(笑)、

今回この記事ではこのすべての切実な思いや疑問に答えるべく、愛猫の夜のナゾ発声練習&大運動会の不思議について解説していきます!

チャタ
見えない何かとは…。
猫村
もうホントそれだけはやめてください。

人が寝る時間になると「オアー」。猫が大きな鳴き声をあげながらウロウロ歩き回る2つの理由

夜電気を消して「さあ寝ようか」となった時に始まるこの謎行動。

昼間は「そんなに睡眠必要?」というくらい四六時中寝ているのに、なぜか夜になると元気いっぱいになるこの不思議。

チャタ
元気100倍、ねこちゃんマン。
猫村
はいはい。

実はこれ、ストレスや寝すぎ、はたまた霊的なアレと追いかけっこ中とかではなく、主に次の2つの理由が関係しているからなんです。

ひとつは「本能」、そしてもうひとつは「遊びたい(遊び足りない)気持ち」です。

ではそれぞれについてご説明していきましょう。

猫が夜活発になるのは本能

夕暮れに狩りをするのは猫の本能

野生の猫は、明け方や夕方の薄暗い時間帯に活発に狩りを始めます。

というのも、獲物となるネズミなどの小動物が活動を始めるのがこの時間帯なので、猫もそれに合わせて狩りをするというわけなんです。

本来そういう暮らしをしていたため、飼い猫の場合も部屋の照明を落とされたり電気を消されたりすると、ついつい「野生の血が騒ぐ」ため獲物を求めて活動しだすというわけなんです。

(猫が夜行性と言われるゆえんです。)

そしてこのいわゆる「夜の運動会」が始まる前に「アオーン」とか「オアー」とか低い声で鳴くわけですが、これには次のような理由が関連してきます。

猫はかまってほしくて「オアー」と鳴く

前述したように猫は本来夜行性でもあるので、飼い主が寝ている時間も自分は眠らず活動していたい気持ちがあります。

ただ室内飼いの場合はネズミなどの獲物がいるわけでもなし、追いかけるものがなくて本能を持て余してしまうため、

寝ないでもっと遊んで」「かまってよ

と鳴いたり猫パンチしたりして飼い主に起きてほしいと訴えているというわけなんです。

猫の夜の大運動会をやめて欲しい?

猫の夜の運動会

このように猫は人間に飼われるようになってからも野生の習性を失っておらず、早朝や夕方(夜)といった時間帯にはどうしても狩猟本能がうずいてしまう生き物です。

ですが夜ごといつもドタバタとこの大運動会をされていては、あなたも眠れないやら近所の騒音になってやしないかと気を揉むやらで困ってしまいますよね。

そこで対策として、「夜の大運動会のやめさせ方」をお伝えさせていただきますので、これを参考にしっかりと対策をしていただければと思います。

夜の大運動会をやめさせる方法

「夜の運動会」をやめさせる方法は、ズバリ

寝る前におもちゃで15分ほど遊んであげること

です。

チャタ
普通すぎて逆にビックリしちゃうね。
猫村
普通ですみませんが、普通が普通に有効だったりします。
チャタ
あれややこしやー。

猫は本能+かまってほしくて「遊んでよー」と鳴き声をあげながらドタバタを開始するので、この野生の血、すなわち狩猟本能を満足させてあげれば猫は次の狩り(遊び)に備えてまた寝ます。

(ちなみに猫は夢の中で狩りの練習・復習をしてるという驚きの研究結果があります。)

猫が見る夢の内容

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2019年4月25日

そのためあなたが寝る前におもちゃを獲物に見立てて遊んであげることで、猫も本能が満たされ充実し、運動会をしなくなる可能性が高まります。

また、「15分」の理由ですが、そもそも猫の遊びは狩りの代わりです。

野生の猫が狩りの時にどんな行動をしているのかと言うと、

獲物が現れる(動き出す)のをじっと待つ

獲物を見つけたら飛びかかる

捕まえたら食べるor

逃げられたら諦める(長距離を追いかけたりしない)

ととてもシンプルかつ時間的にはかなり短期決戦です。

つまり獲物を捉える(または逃げられる)行動は一瞬のため、猫との遊びも同じように長時間は必要ないということです。

ですのでもちろん個体差はあるものの、多くの猫は1日のうち15分程度の短い時間を何回かにわけて遊んであげる方が、長時間を1回遊ぶよりも嬉しいと感じている可能性が高いと考えられます。

チャタ
あんまり長いと集中力も体力も続かないのよ。

その他の猫の鳴き声別の感情(サイン)一覧

猫の鳴き声一覧

というわけで、猫が「アオーン」と夜鳴きする理由についてはご理解いただけたかと思いますが、ご存知のとおり猫にはその他にもいろんな種類の鳴き声があります。

鳴き声は猫同士のコミュニケーションとしてはもちろん、飼い主に感情を伝える手段としても猫は普段から使っています。

いろいろな鳴き声や声のトーンを聞き分けてあげることで、その時その時の愛猫の要求を感じとることができるでしょう。

「ニャ」「んーん」

比較的短めで軽い感じの「ニャ」や、口を開かずニャーンと言っているような「んーん」という鳴き声は、飼い主や家族、同居猫に対するあいさつお返事として出す声。

「○○ちゃーん」と呼ぶとお返事してくれる猫の場合は、飼い主の目をしっかりと見て「ニャ」とか「んーん」とかわいく鳴いてくれます。

猫村
チャタちゃーん。
チャタ
…‥。
猫村
…と、たまに口だけ開けて声が出てない子もいます。

「ニャー」「んー」

「ニャ~」と少し長鳴きしたり、飼い主を見つめながら口を開けずに「んー」と鳴く時は、

「ごはんちょうだい」「かまってかまって」「おヒザ乗せてー」

おねだりなどの要求をする時の鳴き方。

鳴きながら体をくっつけてきたり、前足でタッチしてきたりします。

「ニャーーー」

猫が「ニャー」と長鳴きするサイン

長鳴きしながらウロウロしてる場合、

「トイレが汚いからきれいにして」「水が汚れてるから替えて」

など何か不満を訴えて鳴いていることがあります。

このような場合には愛猫の生活環境を見渡し、どこに不満があるのか見つけてあげてください。

「ウニャウニャウニャ」

食事中にフードをアムアムしながら「ウニャウニャ」と声を出すことがありますが、これは

「ご飯おいしい」「うまうま」

食事に満足してしている様子。

実は子猫が母乳を飲んだときも同じように「ウニャウニャ」と声を出すことがありますが、これは自分の満足感を母ネコに伝えるための手段として出す声とも言われています。

そしてこれが成猫になってもなごりとして残り、ごはんを食べる時につい「ウニャウニャ」と出てしまうのかもしれません。うーん、可愛いですねぇ。

チャタ
(ガツガツガツガツ!)…ウニャウニャ。
猫村
…うん。まあ…かわいい…?

「ニャッ」「ギャッ」

これはもはや説明いらずかもしれませんが、

痛い!

の時の鳴き声。

人にしっぽを踏まれたときや、どこかをケガしたときなどに思わず出る声です。

この鳴き方を聞いたら、念のためにどこか体にケガをしたり異常がないかどうか確認をしてあげてください。

「オー」「ウー」「シャーッ」

「シャー」と威嚇する猫

こちらもよく聞く猫同士のケンカや飼い主以外の人間に対する鳴き声で、

自分の縄張り(テリトリー)から出て行けという威嚇や警戒のサインです。

これは実際ケンカをしたくて相手に向かって鳴き声をあげているわけではなく、どちらかというと争いを避けるために発することが多い鳴き声です。

「ケケケケケ」「カカカカカ」「ニャ…ニャ…ニャ…」

部屋から窓の外を見ていたと思ったら、いきなり「ケケケケケ…」と鳴き始めたのを見たことありませんか?

これは窓の外に鳥やトカゲなど動く生き物を見つけて、思わず狩りをしたい気持ちが沸き上がってきた時に出る声です。

窓をへだてた向こう側なのでなかなか思いは遂げられないわけですが、野生の血が騒ぎ、襲いかかりたい衝動にかられるのでしょう。

また他にも遊びでハッスルして興奮している時にも、思わず「ケケケケ」と言っていることもあります。

チャタ
ウケケケケ。クカカカカ。
猫村
最初の一文字が入るだけで一気に妖怪じみた生き物に見えてきます。

「オアー、オアー」

飼い主と目を合わせずにウロウロと何かを探すように歩き回ったり、トボトボ歩きながらこのちょっと低めの鳴き声をあげている場合は、猫が何か不安を感じていたり、気持ちが悪くて吐きたいオシッコが出ない体の調子が悪いといったサインであることがあります。

こういった鳴き方と行動を見つけた場合は、注意して様子を見るようにしてあげてください。

嘔吐をしたい場合吐けばすぐにわかるので「そうか吐きたかったのかぁ」で済む場合も多いのですが、このような鳴き方がおかしい状態が続くようなら何か調子が悪い場合も考えられるので、動物病院で相談してみてください。

「オアーン」「アーオー」「わーお」

去勢してないオス猫は大声で鳴く

去勢をしていないオス猫の場合、年に3~4回ある発情期になると、まるで人間の子供が泣くような大きな声で「オアー!オアー!」「わーお!わーお!」と夜中鳴き続けます。

この鳴き方は主にオスが発情期にメス猫を呼ぶために発するものですが、この記事の本題である「遊んでー」の意味の「アオーン」とはまったく違うもので、かなり激しい鳴き方をして飼い主を困らせます。

未去勢オス猫の場合はその他にもマーキングのために部屋中にオシッコのニオイを付けたり、性格が乱暴になり何かと飼い主に怒って襲いかかったりするため、病気ではないものの、双方の安心安全のために去勢手術で対処する飼い主さんも多いです。

また、この鳴き方をするもう一つの状況として、猫の認知症があります。

猫もフードの改良などで寿命が延び、高齢猫も多くなる中で、それに伴い認知症を発症する猫も年々増えてきている現状があります。

この認知症の症状のひとつが「オアーン」という低い鳴き声で、これもまた夜中に大声で鳴き続けるという悩ましい特徴があります。

こちらは本能云々というより、認知症により猫の認識が昼夜逆転していたり、高血圧により夜鳴きがひどくなっている場合もあります。

猫の寿命が延びたのは良いことなんですが、健康寿命という点では人間と同じで、まだまだ悩ましい問題もたくさんありますね。

「クルル」

猫じゃらしなどで猫と遊んでいると、猫が「クルルッ」と鳴くことがあります。

これは、猫が

「嬉しい」「楽しい」

と感じてる時に出す声で、鳥の鳴き声のような可愛らしい声です。

飼い主と楽しく遊んでいる時によく聞かれる鳴き声なので、この鳴き方をしたら

「あーこの子はいま楽しいんだな」

と思って、続けてたっぷり遊んであげてください。

「グルグルグル」「ゴロゴロ」

鳴き声…というか音ですが、これも猫を飼っているとよく聞くもので、主に猫が甘えたり満足している時に出す音ですね。

「気持ちいい~」「もっと撫でてほしいー」

と飼い主と一緒にリラックスしている時によく出すため、猫があなたといて安心している証拠とも言えます。

一方まったく正反対の意味も持っていて、猫が緊張したり自分を落ち着かせたりするためにこの音を出していることもあります。

私も動物病院で聞いたことがあるのですが、患畜として来院する猫はほぼ100%嫌々連れてこられている状態なので、みんな緊張して診察台にあがり(あげられ)診察を受けます。

この時「ゴロゴロゴロ…」と音を鳴らす猫がいるのですが、これは自分の気持ちを落ち着かせるため、つまり自分に向かって出している音というわけなんですね。

チャタ
グルグルグル…おおおおお落ち着けオレおおおお落ち落ち…ブクブクブク…。
猫村
そこまでイヤ?

まとめ

猫が「アオーン」と鳴く理由まとめ

いかがでしたでしょうか。

猫が夜大きな声で「オアー」と鳴いてウロウロしだすのは、「本能」と「遊びたりなさ」が原因だということがおわかりいただけたかと思います。

また猫様にこの夜の運動会を静めていただくためには、寝る前の15分程度をしっかりと遊んで狩りへの欲求を満たしてあげることが大切です。

私たち飼い主が毎日ちょっとずつでも小分けに遊んであげることで猫は狩猟本能を満たすことができ、毎日を快適に暮らすことができるので、運動会にお困りの場合はぜひ試してみることをおすすめします。

最後までお読みいただきありがとうございました。