猫ひっかき病の症状と治療法は?人は何科を受診すべき?完治はする?獣医が解説

猫ひっかき病とは 病気・症状
猫村
こんにちは。獣医師の猫村(@chata_nekomura)です。

猫にひっかかれたところが赤くなって治りが悪い…。

とご心配なあなた。

ひっかかれた場所がなかなか良くならなかったり、熱が出たりすると

「これってもしや猫ひっかき病?」

と心配になってきますよね。

そこで今回は猫ひっかき病に関して、

  • 猫ひっかき病を起こす原因
  • すべての猫で要注意?猫の感染率は高いのか?
  • 子猫からの感染が多いって本当?
  • 猫ひっかき病の人での症状や潜伏期間は?
  • 猫ひっかき病の治療が必要な場合は?浅い傷の場合は大丈夫?病院に行くべき基準は?
  • 猫ひっかき病は何科を受診すればいいの?
  • 猫ひっかき病の検査や治療は何をする?
  • 猫も治療すべき?
  • 猫ひっかき病は完治する?死なない?
  • 猫ひっかき病の予防法は?

など、猫ひっかき病のすべてについて解説していきます。

チャタ
珍妙な名前だぜ。

猫ひっかき病の原因

猫ひっかき病は猫に引っかかれたり噛まれたりして起こる人獣共通感染症で、バルトネラ・ヘンセレ(Bartonella henselae)という細菌が原因です。

この菌がどうやって猫から人に感染するのか?という感染経路ですが、そこには主にネコノミと呼ばれるノミが関係してきます。

まず猫→猫感染では、

細菌に感染した猫の血を吸う

感染していない猫にノミが飛び移る

猫がグルーミングの際にノミ本体やノミの糞を口に入れる

新たな猫に感染

という流れで猫から猫への感染が成立すると思われています。

また、猫→人感染では、

「感染猫の口の中に細菌が排出される」or

「グルーミング中に感染ノミが猫の口に入り、口腔内に菌が広がる」or

「グルーミング中に感染ノミの糞が猫の歯や爪に付く」

猫が人を引っかいたり噛んだり舐めたりする

菌が傷口から体内に侵入

人に感染

バルトネラ菌を体内に保有したノミが人にくっつき吸血

人に感染

という流れで猫から人に感染すると思われています。

チャタ
じゃあその何たら菌っていう病原体はどのくらいの猫が持ってるわけ?全部じゃないよね?

ということで、次はそのバルトネラ菌の猫への感染率について見ていってみましょう。

猫の感染率は?飼い猫でも要注意?

猫ひっかき病の猫への感染率

実は猫の感染率(保菌率)は

  • 地域
  • 猫の生活環境

によってかなり違ってきます。

感染率の高い場合は

  • 温かく湿度の高い地域の猫
  • 都市部の猫
  • 野良猫
  • 外飼い猫

で、逆に感染率が低いのは

  • 寒い地域の猫
  • 家猫(室内飼いの猫)

と言われています。

これはつまり気温・地域の猫の密度・飼育環境が条件となっているようですが、さらに

  • ノミが活動的な気候か
  • ノミが寄生できる環境か

というノミ目線での暮らしやすさも重要なポイントとなっているようです。

猫村
ノミは暖かくなると活動的になるからね。

また、猫の感染率は9~15%(愛知県衛生研究所HPより)とも7.2%(近代出版「動物の感染症」より)とも言われてますが、上記のように

暖かい地域の野良猫はこの感染率より高かったり、

寒い地域の室内飼いの猫は感染率0%の場所もあったりなど、

地域や飼育環境などの条件によってもだいぶ違ってくると思われるので、単純に「10匹に1匹が感染」とも言えないようです。

猫の年齢は関係ある?

チャタ
え、年齢関係あんの?

と思われるかもしれませんが、1~3歳のノミの寄生している若い猫で保菌率が高いという研究結果があります。

(参考:猫ひっかき病(栄研化学)より)

子供とおばあちゃんのいる部屋では子供がたくさん蚊に刺されるように(経験的なものですが)、猫の場合もやはり血が美味しいからか肌が柔らかいからか若い方がノミに好まれるようですね。

季節は関係ある?

猫ひっかき病に関係する季節

季節については主に7~12月(特に10月頃)に発生が多いとされています。

この理由として、

春先から夏の暖かい時期にノミが繁殖

バルトネラ菌に感染する猫が増加

秋~冬の寒い時期は飼い主とくっついたり室内で過ごす猫が多くなる

飼い主が猫から引っかかれたりする機会が増える

というものと、

猫の繁殖期は暖かい時期が多い

初秋頃から子猫が外をウロウロしだす

他の猫との接触やケンカで病原体に感染する

保護したり撫でようと思って手を出した人の手を噛んだり引っかいたりして感染させる

というものが考えられます。

チャタ
特に子猫は爪が出っぱなしだからすぐひっかき傷ができるんす。
猫村
どうしても可愛いからつい抱っこしたくなっちゃうんだよね。

猫ひっかき病の潜伏期間

猫ひっかき病は感染してからすぐには発症(赤くなったり熱が出たりの症状が出てくること)せず、噛まれたりなどして感染後、数日~2週間前後に発症することが多いようです。

猫ひっかき病の症状 人と猫で違う?

猫ひっかき病の症状

実は猫ひっかき病による症状は人と猫でだいぶ違うんです。

人の症状
  • 噛まれたりした場所が虫刺されのように赤く盛り上がる
  • 盛り上がった場所に水疱ができたり、一部では化膿、潰瘍に進むこともある
  • リンパ節が腫脹する
  • 通常は発熱、倦怠感、食欲不振、頭痛などを伴う

猫の症状

ほとんど無症状

チャタ
差、ありすぎ~。

また、人ではまれに脳炎やパリノー症候群、骨融解性病変、心内膜炎、脾臓の腫大、網膜炎による視力障害などを起こします。

またHIV、いわゆるエイズなど免疫不全の患者では、細菌性血管腫や菌血症を起こすことがあり、致命的になることもあります。

リンパ節の腫れる部位は

右手の傷→右側の脇や首のリンパ節が腫れる

左手の傷→左側の脇や首のリンパ節が腫れる

足の傷→鼠径部(足の付け根)のリンパ節が腫れる

など傷の位置によって違う場合が多いですが、主に片側だけの場合が多いようです。

腫脹したリンパ節は痛みがあり、数週間から数ヶ月続くこともあります。

猫ひっかき病は必ず治療が必要?浅い傷の場合は大丈夫?

猫ひっかき病は受診が必要?

実は猫ひっかき病にかかっても、多くの場合は特別な治療なしに2~3週間で自然に治ります

ただ「浅い傷だから大丈夫」とか「深い傷だから必ず発症する」というわけでもなく、

その猫が菌を持っているかどうかや引っかかれた人の健康状態(免疫が落ちた状態でないか)など多少なりとも運の部分もあるので、熱が続いたりリンパが腫れるなどして心配な場合は病院に行って医師に診てもらうのをおすすめします。

猫に引っかかれたら何科を受診すればいい?

皮膚を引っかかれたから…皮膚科?

と思われるでしょうが、

  • 皮膚科
  • 内科
  • 外科

などわりと幅広い範囲で受け付けられるようです。

神戸市と福岡市の医師に行ったアンケート調査において,医師が経験した人獣共通感染症のうち CSD は外科系医師では 1 位,内科系医師では 2 位にランクされている。

(CSD:猫ひっかき病、出典:猫ひっかき病(栄研化学)

ただし、医師によっては猫ひっかき病にあまり詳しくない場合もあるので、受診前に病院に電話して

  • 猫に引っかかれて傷ができたこと
  • いつ頃からどういった症状が出てるか
  • 猫ひっかき病が心配

などを伝えて、診てもらえるかどうか確認しておくのもいいかもしれません。

また、受診の際には必ず猫にひっかかれたことを伝えるようにしてくださいね。

もし本当に猫ひっかき病だった場合には、それも大きな判断材料となりますので。

猫ひっかき病の検査法と治療法

猫ひっかき病の診断は、症状や血液検査、PCRなどにより行います。

また血液検査といっても血液からバルトネラ菌本体を見つけるのは難しいため、抗体(菌が体の中にいた証拠)を検出して猫ひっかき病と診断します。

治療法については、「これが効く!」とはっきりと効果が認められる抗菌剤は今のところ確定してないようですが、アジスロマイシンに効果が見られたという報告もあります。

(参考:ネコひっかき病の臨床的検討

チャタ
まあでもほとんどは自然に治るからね。
猫村
そうそう。耐性菌が出てくる危険性もあるから使わないで済むなら使わないほうがいいんだよね。

猫ひっかき病は完治する?死なない?

ほとんどの場合は自然治癒するため完治すると思われますが、まれに1年以上たった後に再発という例もあるようです。

(参考:日本小動物獣医師会

ただし多くはその後再発もせず普通に過ごせているようなので、こちらはまれな例として考えてもらったらいいと思います。

致死的な場合、というのは上述したような免疫疾患を持つ方などが感染した場合で、こちらはしっかりとした治療を受けないと死に至る可能性もあります。

猫ひっかき病は猫も治療すべき?

猫ひっかき病は猫も治療が必要?

猫については無症状なので特に治療の必要はありませんが、ノミが寄生している場合は皮膚炎を起こしたり他の病気を広げてしまう可能性もでてくるため、フロントラインなどでしっかりと駆除しておきましょう。

猫ひっかき病の予防法

猫ひっかき病を予防する方法としては、

  • 猫に触った後は手を洗う
  • 引っかき傷は水で洗い流しイソジンなどで消毒する
  • ネコノミがついている場合は駆除する
  • 猫を外飼いにしている場合は室内飼いにする
  • 野良猫(特に子猫)に触らないようにする

などがあります。

チャタ
普通だね。
猫村
まあ、一般的な衛生対策が一番重要ってこと。

まとめ

猫ひっかき病のまとめ

猫ひっかき病は、放置してもほとんどが治療なしに自然に治ります。

ただしリンパ節が腫れてめちゃ痛かったり、熱が続いてダルさが半端ないとかいった場合には皮膚科or内科or外科を受診して医師に診てもらってくださいね。抗生剤が聞く場合もあります。

また猫ひっかき病は、猫の他にもまれにに引っかかれて発病する例も報告されているので、とにかくペットに引っかかれたり噛まれたりして傷ができた場合は消毒するなど普通の対策を忘れず行ってくださいね。

チャタ
そうは言っても猫との戯れを必要以上に怖がる必要はなし。
猫村
ですです。

最後までお読みいただきありがとうございました。